若王子倶楽部 左右

Our Story

第6回前崎センセイと「茶時」を愉しむ

 美術工芸史が専門の前崎信也氏(京都女子大学准教授)と

 ともに、煎茶を通じて文化や文明を身近なものとして捉え

 直そうよ、と始まった「茶時」も6回目を迎え、建築家や

 デザイナー、学芸員そして企業人と多彩な顔ぶれが

 揃いました。

 

 まず前崎センセイ、掛け軸は会話をまわすための道具と

 評され、「何が書いてあるの」と問いかけます。

 どうも竹林のイメージらしい、「風浄塵不至」

 (ふうじょうにじんいたらず)と書いてある…。

 では竹とは何だろう、常緑、成長が早い、中が空洞など、

 いろんな意見が出てきます。中が空洞な竹は塵がなく、清らかでまっすぐな精神を意味していて、紙が発明される

 前の竹簡は歴史や文字を伝える貴重な資料です…と、私たちを竹の世界へと誘います。いつものように一茶庵の

 佃梓央さんがお茶を煎れながら、話の輪に加わります。この夜は涼炉で直接煎じたお茶、いただき方はそれぞれ

 思いのままです。

 

 そして前崎センセイ、この掛け軸は12月にパリで開催される「日本の竹の展覧会」に出品される飯塚琅玕斎

 (いいづかろうかんさい:18901958)の作によるもの、と解き明かしながら、日本の竹工芸に対する世界の

 評価について語りかけます。実は日本の竹工芸、本家日本では評価されずにいましたが、アメリカの実業家が

 収集したことがきっかけとなりアメリカで大人気に。これが世界の眼を集め、今回のパリでの展覧会に繋がった

 のだそうです。

 アメリカでの収集が始まったのは1980年からということですから、まだ最近の話、工芸の世界も外圧では

 ないですか…。

 

 この竹と籐で編んだ帽子、これは明治時代に大阪で活躍した初代早川尚古斎の作品です。何というセンスの高さ!

 この帽子ですが、歌舞伎役者の市川團十郎がかぶったことで有名に。「上手なPRですよね」と前崎センセイ。

 

 また、桂離宮を「泣きたくなるほど美しい」、生き続けるもの、すなわち「モダン」な建築として評価した

 ブルーノ・タウト(1880-1928)が先ほどの琅玕斎を賞賛しました。タウトは近代化が進む当時の日本で新しい

 用途の製品をつくるようデザインなどを指導したとも言われますから、そのような影響を受けながら新しい

 竹工芸が生まれたのでしょうか。

 琅玕斎のチャレンジが時を経て実を結んだ・・・と言えますが、一方で“目利き”を育てることの大切さを

 改めて知らされた茶時でした。

 

 

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